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新事業進出補助金とは?統合後の新制度・補助額・申請要件をわかりやすく解説【2026年最新】

新規事業への投資を考えつつも、資金面の手当てをどうすべきか迷っている方は多いのではないでしょうか。中小企業が新しい事業に挑戦する際の設備投資を最大9,000万円まで支援する「新事業進出補助金」は、2026年にものづくり補助金と統合され、新制度「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」の一枠(新事業進出枠)として引き継がれました。

この記事では、制度の概要から補助金額・申請要件・採択率・申請の流れ・注意点まで、「自社がこの補助金を申請すべきかどうか」を判断するために必要な情報を、統合後の最新制度をふまえて一気に解説します。

新事業進出補助金とは?(統合後の位置づけ)

新事業進出補助金(正式名称:中小企業新事業進出補助金)は、中小企業が既存事業とは異なる新市場・高付加価値事業へ進出する際の設備投資等を支援する補助金です。2025年(令和7年)に創設され、中小企業基盤整備機構(smrj)が運営してきました。

制度の目的は「新事業進出による企業規模の拡大・付加価値の向上 → 生産性向上 → 賃上げ」という流れを後押しすることです。補助金をもらって終わりではなく、事業計画期間(3〜5年)を通じた成長が求められます。この基本設計は、統合後の新制度にもそのまま引き継がれています。

制度統合のポイント(2026年)

新事業進出補助金は、2026年に「ものづくり補助金」と統合され、新事業進出・ものづくり商業サービス補助金という新制度に一本化されました。単独制度としての「中小企業新事業進出補助金」は第4回公募(2026年6月19日締切)をもって受付を終了しています。

新制度には「革新的新製品・サービス枠」「新事業進出枠」「グローバル枠」の3つの枠が設けられました。このうち新事業進出枠が、従来の新事業進出補助金の制度設計をおおむね引き継いだ枠です。以下、本記事で「新事業進出補助金」と述べる場合は、統合後のこの新事業進出枠を指します。

現在の公募状況(2026年・統合後の第1回)

統合後の新制度で、第1回公募が始まっています。 ただし公募開始と申請受付の開始は別の日付です。申請を検討している方は、まず以下のスケジュールを確認してください。

項目 内容
公募開始 2026年6月29日(月)
申請受付開始 2026年9月30日(水)
申請締切 2026年10月30日(金)18:00
採択発表 2027年1月頃(予定)
制度名 新事業進出・ものづくり商業サービス補助金(新事業進出枠)

※2026年8月時点の情報です(第1回公募要領 ver1.2・2026年8月14日改訂版に基づく)。当初の公表では申請受付が2026年8月31日開始とされていましたが、公募要領の改訂により後ろ倒しされています。最新の日程は必ず公式サイトで確認してください。

参考:新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 公式サイト|第1回 公募要領

事業再構築補助金との違い

新事業進出補助金は、2022年度で新規受付を終了した事業再構築補助金の後継的な性格を持つ制度として位置づけられてきました。ただし、両者には対象事業の考え方に重要な違いがあります。

項目 事業再構築補助金 新事業進出補助金(新事業進出枠)
政策目的 コロナ禍からの回復支援 成長志向の新事業進出支援
対象事業 業態転換・事業転換など 完全新規の製品・サービス×新顧客
補助上限 最大1億円 最大9,000万円(特例時)
建物費 対象外 対象

最大の違いは「対象事業の定義」です。事業再構築補助金では既存事業の業態転換(例:飲食店がテイクアウトを始める)も対象でしたが、新事業進出補助金では自社にとって完全に新しい製品・サービスを、これまでと異なる顧客層に提供する事業のみが対象です。既存事業の延長線上の取り組みは対象になりません。

対象になるかどうかの判断に迷う方は、後述の「『新事業』と『既存事業の延長』の境界線」を参照してください。

補助金額・補助率の一覧

補助率と補助上限額には、それぞれ別の特例があります。

補助率

  • 通常:1/2
  • 地域別最低賃金引上げ特例の適用を受ける場合:2/3

補助上限額(新事業進出枠)

補助上限額は従業員数によって決まりますが、賃上げに関する特例の要件を満たす場合は上限が引き上げられます(補助下限額は全区分共通で750万円)。

従業員数 通常 賃上げ特例適用時
20人以下 2,500万円 3,000万円
21〜50人 4,000万円 5,000万円
51〜100人 5,500万円 7,000万円
101人以上 7,000万円 9,000万円

出典:第1回公募要領P7(新事業進出枠)

補助金は後払い(実費精算)です。 補助対象経費を先に自社で支払い、事業完了後に実績報告を行ったうえで補助金が支払われます。補助率1/2で750万円の補助金を受け取るには、まず1,500万円以上を自社で支出できる資金繰りが必要です。この点は申請前に必ず確認してください。

補助対象経費の種類

補助対象となる経費は以下のとおりです。建物費または機械装置・システム構築費のいずれかが必須で、どちらも含まれない計画は対象外になります。

ハード費用(いずれか1つが必須)

  • 建物費(新事業用の生産施設・加工施設・販売施設などの建設・改修費用。新事業進出枠・グローバル枠のみ対象)
  • 機械装置・システム構築費(新事業に必要な機器・ソフトウェアの導入費用)

その他の対象経費

  • 運搬費
  • 技術導入費(特許・ノウハウのライセンス取得費用)
  • 専門家経費(コンサルタント・弁護士・弁理士等への依頼費用)
  • 外注費(製品開発・市場調査等の外部委託費用)
  • 知的財産権等関連経費(特許出願・商標登録等の費用)
  • クラウドサービス利用費
  • 広告宣伝・販売促進費
  • 原材料費(試作品の開発に必要なもの)

対象外の主な経費: 汎用品・消耗品、人件費、不動産購入費などは対象外です。対象経費の範囲は公募回により変わることがあるため、詳細は公募要領で確認してください。

申請対象者と申請要件

補助対象者

以下に該当する事業者が対象です。

  • 中小企業者(業種別の資本金・従業員数基準を満たす会社・個人)
  • 従業員数300人以下の法人(中小企業者以外)
  • 組合・連合会などの特定事業者の一部

申請できない事業者(対象外)

  • 従業員が0名の事業者
  • 創業後1年未満の事業者(新事業進出枠)
  • みなし大企業(発行済株式の1/2以上を大企業が保有する、役員の過半数が大企業の役員・職員を兼務するなど、実質的に大企業の支配下にある中小企業)

個人事業主も申請できますが、従業員を1名以上雇用していることが必要です。過去の類似補助金での採択歴や他補助事業との重複など、細かな制限は公募回ごとに定められるため、最新の公募要領で確認してください。

申請要件の一覧

新事業進出枠の申請要件の全体像。枠の条件である新事業進出要件と、付加価値額・賃上げ・事業場内最賃水準・ワークライフバランス・子育て等の職場環境整備・金融機関の6つの基本要件

新事業進出枠で申請するには、枠の対象事業に当てはまること(新事業進出要件)に加えて、全枠共通の基本要件を満たす必要があります(第1回公募要領ver1.2・2026年8月時点)。

【枠の条件】新事業進出要件

自社にとって新しい製品またはサービスを、新たな市場に提供する事業であること。新たに製造・提供する製品等が自社にとって新規性を持ち、かつその製品等が属する市場が自社にとって新市場であることが求められます。

【基本要件①】付加価値額要件

補助事業終了後3〜5年の事業計画期間において、付加価値額の年平均成長率が4.0%以上増加する見込みの計画を策定することが求められます。付加価値額とは、営業利益・人件費・減価償却費を足したものを指します。

【基本要件②】賃上げ要件

事業計画期間において、一人当たり給与支給総額の年平均成長率を+3.5%以上増加させること。設定した目標値は、交付申請時までに全従業員または従業員代表者へ表明する必要があります。

【基本要件③】事業場内最賃水準要件

事業計画期間中、毎年、事業場内最低賃金を事業実施場所の地域別最低賃金より30円以上高い水準にすることが求められます。

②と③は申請時だけでなく計画期間中ずっと問われます。達成できない場合は補助金の返還義務が発生するため、現実的に達成できる見込みがあるかを慎重に判断してください。

【基本要件④】ワークライフバランス要件

次世代育成支援対策推進法にもとづく一般事業主行動計画を策定し、公表していることが必要です。応募申請時までに策定し、申請締切日時点で有効な計画を、厚生労働省の情報サイト「両立支援のひろば」に公表しておく必要があります。

この要件は事前の手続きが必要なため、締切直前では間に合いません。 公表までに1〜2週間程度かかり、審査の過程で不備が見つかることもあるため、公募要領は2週間以上の余裕をもって申請するよう案内しています。

【基本要件⑤】子育て等に関する職場環境整備に向けた取り組み要件

子育て等に関する職場環境整備の取り組みを、以下の3つから1つ選んで実施します。実施する内容は応募申請時の事業計画に記載し、実績報告時に取り組みの証憑を提出します。

  • ライフデザインサービス(ライフプラン表の作成や家計・保険・資産運用の相談など)を若手従業員が活用できるようにする
  • 家事代行サービス・ベビーシッターサービスを社員が活用できるようにする
  • 産前産後休業・育児休業・短時間勤務制度などの既存制度を従業員へ周知・啓発する

なお「プラチナくるみん認定」「くるみん認定」「トライくるみん認定」のいずれかを取得している事業者は、この要件が免除されます。

※金融機関から資金提供を受ける場合の追加要件

補助事業の資金を金融機関から調達する場合は、資金提供元の金融機関から事業計画の確認を受け、「金融機関による確認書」を提出する必要があります(基本要件⑥・金融機関要件)。自己資金のみで実施する場合は提出不要です。

「新事業」と「既存事業の延長」の境界線

製品等の新規性と顧客層の新規性による2×2マトリクス。新しい製品を新しい顧客層に提供する場合が対象、既存製品を既存顧客に提供する場合が対象外、残る2象限はグレーゾーン

申請の可否を左右する最大のポイントが「新事業進出要件」の解釈です。「製品・サービスが自社にとって新しいか」と「参入する市場が自社にとって新しいか」の2軸で確認するのが基本です。

ここでいう新規性は、自社にとっての新規性であり、日本初・世界初である必要はありません(第1回公募要領P7)。

見落としやすい時点のルール

公募要領には、新規性について次の規定があります。

本補助金の申請予定公募回の公募開始(=公募要領公開)日以降に初めて取り組んでいる事業について、「新規性」を有するものとみなします(第1回公募要領P7)

つまり、すでに着手している事業は新規性を認められない可能性があります。第1回公募であれば、公募開始日である2026年6月29日以降に初めて取り組んだ事業が対象です。「構想はあるがまだ動いていない」段階の事業のほうが、この補助金とは相性がよいことになります。

新事業と判断される例(対象になる可能性が高い)

  • 製造業が新しい製品カテゴリーを開発し、これまで取引のなかった顧客層(例:個人消費者、異業種企業)に販売する
  • 飲食店が食品加工品を開発し、小売店や通販で販売する(店舗来客とは異なる顧客層)
  • IT企業がソフトウェア開発で培った技術を活かし、医療機器の組み込みシステム事業に新規参入する

対象にならない例(公募要領が明示しているもの)

公募要領P7では、新事業進出枠に該当しない例として次の7つが挙げられています。自社の計画がここに当てはまらないかを確認してください。

  • 既存の製品等の製造量・提供量を増大させる場合
  • 過去に製造していた製品等を再製造等する場合
  • 単に既存の製品等の製造方法を変更する場合
  • 製品等の性能が定量的に計測できる場合に、その性能が有意に異なるとは認められない場合
  • 既存の製品等と対象とする市場が同一である場合(既存製品の需要が新製品の需要で代替される場合・単なるメニューの追加と考えられる場合)
  • 既存の製品等の市場の一部のみを対象とするものである場合
  • 既存の製品等が対象であって、単に商圏が異なるものである場合

「既存店舗での新メニュー追加」「既存顧客への販路追加」「既存事業の効率化・省力化投資」といった取り組みは、この7類型のいずれかに当てはまります。判断に迷う場合は、公募要領の新事業進出要件の記載を確認するか、認定経営革新等支援機関に相談することをおすすめします。

参考:新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 公式サイト|第1回 公募要領
参考:ミラサポplus|認定経営革新等支援機関の検索

採択率の実績と業種別傾向(前身制度の第1回)

統合後の新制度はまだ採択実績が出ていないため、前身の中小企業新事業進出補助金・第1回公募(2025年7月締切)の実績を、傾向を読むための参考として紹介します。制度設計が引き継がれているため、審査で見られる観点の目安になります。

項目 数値
応募件数 3,006件
採択件数 1,118件
採択率 約37%(37.2%)

出典:中小企業新事業進出補助金事務局|第1回公募の採択結果について(令和7年10月)

採択率37.2%は、小規模事業者持続化補助金(約60%)やものづくり補助金(約49%)と比べて厳しい水準でした。審査の評価観点を押さえた事業計画を作れれば採択の可能性は十分あります。審査で見られるポイントは次のセクションで解説します。

なお、この第1回では採択1,118件のうち590件(約53%)が関税加点の対象でした。当時の政策的な加点が採択結果に大きく影響していた点は、数字を読むうえで踏まえておく必要があります。統合後の新制度では加点項目の構成が変わっているため、37.2%という数字をそのまま新制度の見込みとして扱うことはできません。

業種別の採択件数(前身制度・第1回)

業種 応募件数 採択件数 採択率
製造業 617件 320件 51.9%
宿泊業・飲食サービス業 316件 77件 24.4%

応募件数・採択件数がともに多かったのは、製造業・卸売業/小売業・建設業の順です。

製造業は既存の技術・設備を活かした新市場参入と親和性が高く、市場性・実現性を示しやすいため採択率が高い傾向がありました。関税加点の対象になりやすい業種でもあります。一方、宿泊・飲食業は「既存顧客への新サービス」と「本当の新市場への新事業」の境界線が引きにくく、新事業進出要件を満たす計画の作成が難しい業種です。

製造業以外の方は、業種別採択率が全体平均を下回る可能性があることを念頭に置き、市場性と新規性の根拠づくりをより丁寧に行う必要があります。

また、前身制度の第1回では、申請額の低い帯(1,000万円未満)の採択率が3割前後だったのに対し、高額帯では4〜5割に達する区分もありました。補助金額の大小だけで有利・不利が決まるわけではありませんが、投資規模の根拠が審査で問われることを意識してください。

審査で評価される観点

審査で重視されるのは「アイデアの面白さ」ではなく「実現性と市場での差別化」です。

市場性:参入する新市場の規模・成長性・競合状況を具体的なデータ(市場調査資料・業界統計等)で示せているか。

新規性・差別化:既存事業や競合他社と何が違うのかを明確に示せているか。既存の技術・ノウハウをどう活かすかも評価されます。

実現性:人員体制・外部パートナー・資金調達計画・実施スケジュールが現実的に組まれているか。

事業化可能性:新事業の売上が立つ根拠(市場調査・顧客ヒアリング・試作実績・パイロット販売結果など)が示せているか。

加点項目の活用:第1回公募では加点項目が17種類設定されています(公募要領P46〜49。パートナーシップ構築宣言・くるみん・えるぼし・健康経営優良法人・経営革新計画・事業継続力強化計画・DX認定など)。該当する項目があれば審査で一定程度の加点を受けられます。比較的取り組みやすいものを挙げます。

  • パートナーシップ構築宣言:ポータルサイトから無償で登録できる宣言制度。取引先との共存共栄を宣言するもので、登録自体に費用はかかりません。
  • 健康経営優良法人認定:経済産業省・日本健康会議が認定する制度。従業員の健康管理に取り組む企業が対象です。

加点項目は申請締切日時点で要件を満たしている必要があります。認定の取得には時間がかかるため、狙う場合は締切から逆算して早めに動いてください。対象は公募回ごとに変わるため、最新の公募要領で確認してください。

申請の流れ(4段階)

申請から実績報告までの4段階。準備・申請・交付決定・実施の流れと、交付決定通知が届くまで契約や発注ができないという注意

申請から補助事業完了までの大きな流れを4段階で説明します。

第1段階:準備(GビズID取得・要件確認)

申請にはGビズIDプライムアカウントが必要です。取得方法は2種類あり、所要期間が大きく異なります。

  • マイナンバーカードを使うオンライン申請:24時間365日、速やかに処理されます
  • 書類申請(印鑑証明書の郵送):審査に最大1か月かかります

書類申請を選ぶ場合は、申請締切から逆算して早めに手続きしてください。

もう一つ、この段階で着手すべきなのがワークライフバランス要件の一般事業主行動計画です。 「両立支援のひろば」への公表に1〜2週間かかり、申請締切日時点で公表されていないと要件を満たせません。公表申請の審査過程で不備が見つかることもあるため、公募要領は2週間以上の余裕をもって公表申請を行うよう案内しています。

GビズIDと行動計画の準備と並行して、公募要領を読み込み、自社の計画が新事業進出要件と基本要件に合致するかを確認します。「要件を満たしているか不明」という状態のまま事業計画書の作成に進むと、方向性がぶれたまま時間を消費することになります。

参考:GビズID 公式サイト|アカウント取得方法

第2段階:事業計画書の作成と電子申請

事業計画書はWebの入力フォームに直接入力する方式です。ファイルを添付するのではなく、電子申請システムに内容を入力します。

事務局は申請準備用の「事業計画テンプレート」を公開する予定ですが、2026年8月時点では未公開です。公開までは、公募要領の審査項目をもとに手元で下書きを作り、受付開始後にシステムへ転記する進め方になります。

事業計画書で問われる主な項目は以下のとおりです。

  • 現状分析:自社の強み・弱み・既存事業の位置づけ
  • 新事業の内容:製品・サービスの説明、既存事業との違い
  • 市場・競合分析:参入市場の規模・成長性、競合との差別化ポイント
  • 実施体制・スケジュール:誰が何をいつまでに行うか
  • 資金調達計画:補助金以外の資金手当て
  • 数値計画:売上・付加価値額・賃上げの目標値と根拠

申請はオンライン専用です。郵送・持参での受付はありません。

第3段階:採択・交付決定

応募締切から採択結果発表まで数ヶ月かかります。採択はあくまで「補助金交付の候補に内定した」状態であり、この後に交付申請・交付決定という手続きが別途必要です。

交付決定通知が届くまでは、補助事業に関わる契約・発注・支払いを一切行ってはいけません(事前着手禁止)。 採択通知が届いても、交付決定前に動いてしまうとその費用が補助対象外になります。

第4段階:補助事業の実施・実績報告

交付決定後、補助対象期間内に設備投資や新サービスの開発・立ち上げを進めます。新事業進出枠の補助事業実施期間は、交付決定日から14か月以内(採択発表日からは16か月以内)が目安です。補助事業が完了したら、期限内に実績報告書を提出してください。提出期限を過ぎると交付決定が取り消される可能性があります。

事業計画期間(3〜5年)中は、賃上げ要件・付加価値額要件の達成状況をモニタリングする義務があります。

申請前に知っておきたい注意点

事前着手は絶対NG

採択(内定)と交付決定は別のステップです。「採択されたから設備を発注しよう」は最も多い失敗パターンで、交付決定通知が届くまでは契約・発注・支払いを一切行えません。補助対象になるのは交付決定日以降の発注(契約)に基づく経費だけです。

賃上げ未達で返還義務が発生する

申請要件として掲げた賃上げ目標が事業計画期間中に達成できなかった場合、受け取った補助金の返還義務が生じます。返還額は「補助金交付額 ×(1 − 達成した年平均成長率 ÷ 目標値)」で計算され、成長率がゼロまたはマイナスの場合は全額返還です。

また、設定した目標値を交付申請時までに従業員へ表明していなかった場合は、交付決定が取り消され補助金全額の返還を求められます。

「とりあえず申請するために高い目標を掲げる」という考え方は危険です。現実的に達成できる数値で計画を立てることが求められます。

補助金は後払いのため先に自己資金が必要

補助金は実費精算・後払いです。最低でも1,500万円(下限750万円の補助金を受け取る場合)を先に支出できる資金繰りが前提になります。申請前に金融機関との相談も含めた資金計画を立てておくことをおすすめします。

まとめ:この補助金を使うべきか判断する4つの問い

新事業進出補助金(統合後は新事業進出・ものづくり商業サービス補助金の新事業進出枠)は、最大9,000万円という大きな支援を受けられる一方で、申請要件・投資規模・採択率のハードルが高い補助金です。以下の4つの問いで、申請を検討すべきかを判断してください。

  1. 自社にとって新しい製品・サービスを、これまでと異なる新市場に提供する事業を計画しているか?(すでに着手している事業は新規性を認められない可能性があります)
  2. 1,500万円以上の設備投資を計画しており、先払いできる資金の目処が立っているか?
  3. 付加価値額4.0%以上・賃上げ3.5%以上という数値目標を、事業計画期間中に現実的に達成できる見込みがあるか?
  4. 2026年10月30日18:00の申請締切までに、準備が完了できる状態にあるか?(GビズIDの取得と一般事業主行動計画の公表に、それぞれ事前の所要期間がかかります)

4つすべてに「はい」と答えられるなら、申請を前向きに検討する価値があります。1つでも懸念がある場合は、公募要領を読み直すか、認定経営革新等支援機関などの専門家に相談することをおすすめします。

参考:ミラサポplus|認定経営革新等支援機関の検索

制度の詳細・最新情報の確認はこちら
参考:新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 公式サイト(中小企業基盤整備機構)