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福祉・介護事業の事業再構築補助金について解説

福祉・介護事業の事業再構築補助金について解説

 

福祉・介護事業の補助金の組合せについて解説します。なお、福祉・介護事業と小規模事業者持続化補助金については、「福祉事業と小規模事業者持続化補助金(一般型)について解説」の記事で解説しているので参考にしてください。今回は福祉・介護事業の「事業再構築補助金」について解説します。

 

参考:福祉事業と小規模事業者持続化補助金(一般型)について解説

 

福祉・介護事業者の中には、長引くコロナ禍による影響で売上を落としたことを契機に、「法人内で新規事業に取り掛かりたい」と考えている方も多いかと思います。当記事では、コロナ禍で打撃を受けた事業者向けの補助金である事業再構築補助金を、福祉・介護事業にどう活かしていくか。について解説します。

 

事業再構築補助金の趣旨・目的

 

目的「本事業は、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化し、当面の需要や売上の回復が期待し難い中、ウィズコロナ・ポストコロナの時代の経済社会の変化に対応するために新分野展開、業態転換、事業・業種転換、事業再編又はこれらの取組を通じた規模の拡大等、思い切った事業再構築に意欲を有する中小企業等の挑戦を支援することで、日本経済の構造転換を促すことを目的とします。」

 

参考:令和二年度第三次補正・令和三年度補正・令和四年度予備費事業再構築補助金(第8回)公募要領

 

事業再構築補助金とは、コロナ禍により売上を落とした中小企業等の新たな取組を、補助金という形で資金支援する事業です。

 

福祉・介護業に関連する事業再構築補助金の活用例

 

福祉・介護事業者が事業再構築補助金を活用する場合に、どのような取組があるのか、例を挙げて説明します。

 

(1)施設の敷地に地元産の食材を使った食堂を併設

 

【事例】

新型コロナウイルス感染症により、重症化しやすい高齢者の外出自粛傾向は強く、特に通所型の介護施設の売上減少に大きな影響を与えています。介護事業単体での事業存続が厳しいと判断し、人々の外出頻度が戻りつつある今、地元密着型で行ってきた強みを活かし、施設内で「地元産地の食材を中心にした食堂」を開設することにしました。

 

【補助対象になり得る経費例】

この場合、建物の改装費や食堂にて使用される業務用調理器具、食堂事業の宣伝にかかる広報費(パンフレット、動画、広告媒体掲載)、食堂事業を始めるにあたり依頼した専門家への謝金、市場調査や営業代行費用などが補助対象になります。

 

(2)自社所有不動産に建物を建築してコワーキングスペース事業を開始

 

【事例】

新型コロナウイルス感染症のリスクが大きい高齢者向けのサービスに依存した事業形態に不安を感じています。今後需要拡大が見込める、郊外でのコワーキングスペース事業に進出します。それにあたり、自社所有の土地があるのでそこでの事業開始を考えています。

 

【補助対象になり得る経費例】

コワーキングスペースに使用する建物を建設する為に要する経費や、原状回復のために要する経費。事業に必要なソフトウエアや情報システム等の購入・構築費、クラウドサービス利用料も補助対象になります。また、新たに始めるコワーキングスペース事業を宣伝するために使用する広告ツールにかかる費用も補助対象になります。

 

※ 建物を新築で建設する場合、事業遂行のために必要不可欠であること及び代替手段が存在しない場合に限り申請が可能になります。別途「新築の必要性に関する説明書」を提出する必要があり、採択された場合でも「新築の必要性に関する説明書」の内容によって認められない場合があります。

 

(3)高齢者向けの配食サービス事業の開始

 

【事例】

新型コロナウイルス感染症の影響で打撃を受けた飲食店が、飲食事業のまま需要拡大が見込める高齢者向けの配食サービス事業を開始することにしました。

 

【補助対象になり得る経費例】

テイクアウト・デリバリー対応の為の店舗改装工事や、厨房機器が補助対象になります。また、高齢者向けの配達事業開始にあたり、開業前に運営指導や研修を受ける費用なども補助対象です。配食サービスの広報活動にかかるチラシやパンレットなども補助対象です。

 

事業再構築補助金とは

 

(1)補助対象となる者が限られます

事業再構築補助金の対象となる者は、中小企業者および中堅企業等になります。ここでは多くの事業者が該当する「中小企業者」について解説します。

 

中小企業者とは

・資本金又は従業員数(常勤)が下表の数字以下となる会社又は個人事業は補助対象の事業者に当たります。

業種 資本金 従業員数
製造業、建設業、運輸業 3億円 300人
卸売業 1億円 100人
サービス業

(ソフトウェア業、情報処理サービス業、旅館業を除く)

5,000万円 100人
小売業 5,000万円 50人
ゴム製品製造業

(自動車又は航空機用タイヤ及びチューブ製造業並びに工業用ベルト製造業を除く)

3億円 900人
ソフトウェア業又は情報処理サービス業 3億円 300人
旅館業 5,000万円 200人
その他の業種(上記以外) 3億円 300人

※1 資本金は、資本の額又は出資の総額をいいます。

※2 常勤従業員は、中小企業基本法上の「常時使用する従業員」をいい、労働基準法第20条の規定に基づく「予め解雇の予告を必要とする者」と解されます。これには、日々雇い入れられる者、2か月以内の期間を定めて使用される者、季節的業務に4か月以内の期間を定めて使用される者、試みの使用期間中の者は含まれません。

 

○福祉・介護事業者の場合、資本金5,000万円以下・従業員数(常勤)100人以下の法人格を有する者が当てはまります。事業再構築補助金は営利法人に限らず一般社団法人等でも可能です。営利法人では取組みにくい社会性・公共性の強い事業計画を立てると良いでしょう。

 

参考:令和二年度第三次補正・令和三年度補正・令和四年度予備費事業再構築補助金(第8回)公募要領

 

(2)売上が減少している必要があります

 

事業再構築補助金の補助対象となるためには、売上減少が要件になっています。

売上高減少要件について

 

・「2020年4月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が、コロナ以前(2019年又は2020年1月~3月)の同3か月の合計売上高と比較して10%以上減少していること」

 

※上記売上高減少要件を満たさない場合は、合計付加価値額で算出する方法も存在します。詳細は公募要領をご確認ください。

 

参考:令和二年度第三次補正・令和三年度補正・令和四年度予備費事業再構築補助金(第8回)公募要領

 

 

(3)認定経営革新等支援機関要件があります

事業再構築補助金にかかる事業計画書は税理士や金融機関等の「認定経営革新等支援機関」に、アドバイスを仰ぎながら策定し、確認書を発行してもらう必要があります。採択されるためにはきちんとした事業計画書を作成する必要があるからです。補助金額が3,000万円を超える場合には、「金融機関による確認書」を提出してください。

 

認定経営革新等支援機関検索については下記サイトから行えます。

 

参考:認定経営革新等支援機関検索システム

 

 

(4)補助率、補助金上限と補助対象経費(通常枠の場合)

 

項目 要件
補助金額 【従業員数20人以下】  100万円 ~ 2,000万円

【従業員数21~50人】  100万円 ~ 4,000万円

【従業員数51~100人】 100万円 ~ 6,000万円

【従業員数101人以上】 100万円 ~ 8,000万円

補助率 中小企業者等    2/3 (6,000万円超は1/2)

中堅企業等     1/2 (4,000万円超は1/3)

補助対象経費 建物費、機械装置・システム構築費(リース料を含む)、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、外注費、知的財産権等関連経費、広告宣伝・販売促進費、研修費

参考:令和二年度第三次補正・令和三年度補正・令和四年度予備費事業再構築補助金(第8回)公募要領

 

※本記事は2022年11月21日に作成したものです。